みなさんこんにちは。茨城県木造建築の相談窓口です。
「事業拡大のために新しい倉庫を建てたいが、見積もりをとって驚いた。数年前とは比べ物にならないほど建築費が上がっている」
最近、私たちの元へご相談に来られる経営者様や担当者様の多くが、開口一番にこのような悩みを口にされます。資材価格の高騰、人件費の上昇、そして工期の長期化。かつては当たり前だった坪単価での計画が、今ではまったく通用しない状況が続いています。
多くの事業者が倉庫建築において費用面で失敗してしまう最大の理由は、「倉庫=鉄骨造(S造)」という固定観念にとらわれ、構造の比較検討を行わないまま計画を進めてしまうことにあります。
建築費用の大部分を決定づけるのは「構造」です。建物の規模や用途、そして地盤条件によっては、鉄骨造以外の選択肢が、コスト・工期・性能のすべてにおいて合理的な解となるケースが確実に存在します。
この記事では、茨城県での建築実績を持つ実務者の視点から、倉庫建築における「鉄骨造と木造の坪単価比較」を徹底解説します。単なる金額の比較だけでなく、なぜその費用になるのかという構造的な理由や、現代の技術が可能にした新しい倉庫の在り方について具体的にお伝えします。
この記事を読んでいただくことで、貴社のプロジェクトにとって「本当にコストパフォーマンスの高い構造」を選ぶための判断基準を得ることができるはずです。

倉庫建築の坪単価比較|なぜ今、構造の見直しが必要なのか
倉庫を計画する際、最も気になるのが「坪単価」です。しかし、インターネット上で検索できる平均的な坪単価と、実際に出てくる見積金額には大きな乖離があることが珍しくありません。まずは、現在の市場環境と、構造ごとの一般的なコスト感について整理します。
鉄骨造(S造)の坪単価が高止まりしている背景
長らく倉庫建築のスタンダードであった鉄骨造ですが、近年はその建築費が高騰し続けています。主な要因は、世界的な鉄鉱石価格の上昇と、エネルギーコストの増大による鋼材価格の値上げです。さらに、溶接工や鉄骨鳶(とび)といった専門職人の不足が深刻化しており、労務費も上昇の一途をたどっています。
特に茨城県のような北関東エリアであっても、都心部の再開発プロジェクトに職人が取られる傾向があり、工期の確保とコストの抑制が年々難しくなっています。「以前建てた時は坪○○万円だった」という経験則で予算を組むと、資金計画が破綻するリスクが極めて高いのが現状です。
倉庫建築における木造という「第3の選択肢」
これまで倉庫といえば、プレハブを含む鉄骨造が主流でした。しかし近年、技術革新により「木造」が中大規模建築において現実的な選択肢として浮上しています。ここで誤解していただきたくないのは、「木造=安かろう悪かろう」ではないということです。
現代の木造倉庫は、耐震性や耐久性において鉄骨造に引けを取りません。後述しますが、地盤改良費を含めたトータルコストで比較した際、条件次第では鉄骨造よりも数千万円単位でコストを圧縮できる可能性があります。構造選定は、単に「何で建てるか」ではなく「事業収支をどう合わせるか」という経営判断そのものなのです。
【徹底比較】鉄骨造 vs 木造|倉庫建築におけるメリット・デメリット
最適な構造を選ぶためには、それぞれの特性をフラットに理解する必要があります。ここでは、倉庫建築という用途に絞って、鉄骨造と木造を比較します。
鉄骨造(S造)で倉庫を建てるメリット・デメリット
メリット:
鉄骨造の最大の強みは、その強度と設計の自由度です。鋼材は強度が高いため、柱と柱の間隔(スパン)を大きく飛ばすことが容易です。大型トレーラーが頻繁に出入りする物流センターや、重量物を扱う工場兼倉庫など、極めて高い強度と大空間が求められる場合には、鉄骨造が最も合理的です。また、法定耐用年数が長いため、資産価値としての評価も安定しています。
デメリット:
一方で、デメリットは「重さ」と「熱」です。鉄は重いため、建物を支えるための基礎や地盤改良工事に多額の費用がかかります。茨城県内でも、沿岸部や旧河川敷などの軟弱地盤エリアでは、杭工事だけで予算を圧迫することがあります。また、鉄は熱伝導率が高いため、夏場は倉庫内が高温になりやすく、空調効率が悪化するという課題もあります。
木造で倉庫を建てるメリット・デメリット
メリット:
木造の最大のメリットは「軽さ」です。鉄骨造に比べて建物重量が圧倒的に軽いため、基礎工事や地盤改良費を大幅に抑えることが可能です。これは坪単価を押し下げる大きな要因となります。また、木材は断熱性が高いため、空調コストの削減や、夏場の作業環境改善に寄与します。減価償却期間が短いため、利益が出ている企業にとっては節税効果が高いという財務面でのメリットもあります。
デメリット:
一般的な住宅用木材では、大空間を作るのに限界がある点がデメリットでした。しかし、現在は高強度の集成材や特殊な金物工法を用いることで、この弱点は克服されつつあります。ただし、防耐火規制が厳しい地域(防火地域など)では、耐火被覆などの追加コストがかかり、鉄骨造との価格差が縮まる、あるいは逆転するケースもあります。
木造倉庫の真実|「スパン」と「天井高」は確保できるのか?
倉庫建築を検討する事業者様から最も多くいただく質問が、「木造で柱のない広い空間(スパン)は作れるのか?」「フォークリフトを使うための天井高は確保できるのか?」という点です。実務的な視点で解説します。
木造でも「柱の要らない大空間」が可能になった理由
結論から申し上げますと、木造でも10メートルから20メートル以上のスパン(柱間隔)を確保することは十分に可能です。これを実現しているのが「トラス構造」や「大断面集成材」という技術です。
トラス構造とは、三角形を組み合わせた骨組みのことで、橋梁やドーム建築などでよく見られる形状です。これを木材で組むことで、梁(はり)の強度を飛躍的に高め、中間に柱を落とさずに屋根を支えることができます。以前、私たちが担当した案件でも、トラス工法を採用することで、フォークリフトが縦横無尽に走り回れる無柱空間を実現しました。「木造=柱だらけ」というイメージは、過去のものです。
6メートル以上の天井高と高積み保管への対応
倉庫としての保管効率を高めるためには、天井高(有効高さ)が重要です。木造倉庫であっても、軒高6メートル以上の空間を確保することは技術的に難しくありません。
実際に、ラックを3段、4段と高積みする倉庫においても、木造が採用されるケースが増えています。ただし、軒高が9メートルや13メートルを超えるような超大型の自動倉庫などの場合は、鉄骨造の方が構造計算上シンプルになるケースが多いです。重要なのは、「必要な高さ」に対して「過剰なスペック」になっていないかを見極めることです。一般的な平屋建て倉庫であれば、木造はスペック不足になることなく、十分なパフォーマンスを発揮します。
コスト比較の落とし穴|「本体工事費」以外で差がつくポイント
「坪単価」を比較する際、多くの人が建物本体の価格だけに注目しがちです。しかし、最終的な「総事業費」を左右するのは、本体以外の要素です。ここに、鉄骨と木造のコスト差を生む大きな要因が隠れています。
地盤改良費・基礎工事費のインパクト
先ほども少し触れましたが、茨城県は地盤の強弱が地域によって大きく異なります。例えば、霞ヶ浦周辺や沿岸部などは地盤が緩い傾向にあります。このような土地に重い鉄骨造の倉庫を建てる場合、地中深くまで杭を打つ必要があり、数百万円から一千万円単位の地盤改良費が発生することがあります。
一方で、木造は鉄骨造の約4分の1程度の重量しかありません。そのため、地盤改良が不要になる、あるいは簡易な表層改良で済むケースが多くあります。先日ご相談いただいた倉庫案件では、本体価格の差に加え、この基礎・地盤改良費の削減効果により、総額で約20%のコストダウンにつながりました。上物(建物)の単価だけでなく、地面の下まで含めたトータルコストで比較することが重要です。
確認申請と工期の短縮によるコストメリット
時は金なりと言いますが、工期の長さもコストに直結します。鉄骨造の場合、工場での部材製作に数ヶ月を要することがあり、着工までのリードタイムが長くなりがちです。
対して木造は、プレカット工場での加工期間が比較的短く、現場での組み立てスピードも速いのが特徴です。工期が短縮されれば、それだけ早く倉庫を稼働させることができます。賃料が発生している仮倉庫からの移転であれば、賃料の二重払い期間を短縮できますし、営業倉庫であれば早期に収益化が可能になります。これら「見えないコスト」も含めて比較検討することが、賢い事業者の選択です。
失敗しない倉庫建築|構造選定の判断フローチャート
ここまで鉄骨造と木造の特徴を比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきか迷われる方も多いでしょう。以下の基準を参考に、自社のプロジェクトに照らし合わせてみてください。
鉄骨造を選ぶべきケース
以下の条件に当てはまる場合は、鉄骨造が合理的、あるいは必須となる可能性が高いでしょう。
- 超大型・高層倉庫: 延床面積が極めて大きく、多層階(3階建て以上など)の倉庫を計画している場合。
- 極度の大スパン: 柱のない空間が30メートル以上必要など、特殊な大空間を求めている場合。
- 重量物の積載: 2階以上の床に、極めて重い機械や荷物を積載する場合(床荷重が非常に大きい場合)。
- 火気使用: 溶接作業など火花が飛ぶ工場を兼ねており、内装制限が非常に厳しい場合。
木造を検討すべきケース
一方で、以下の条件であれば、木造を選択肢に入れることでコストダウンや性能向上が見込めます。
- 平屋建て〜2階建ての倉庫: 一般的な規模の倉庫であれば、木造で十分対応可能です。
- 地盤に不安がある: 軟弱地盤エリアでの建築で、基礎コストを抑えたい場合。
- 早期稼働を目指している: 少しでも工期を短縮し、事業をスタートさせたい場合。
- 作業環境を重視する: 夏場の倉庫内の暑さを和らげ、従業員の作業効率や定着率を上げたい場合。
- コストを抑えたい: 昨今の鉄骨価格高騰により予算オーバーしており、代替案を探している場合。
まとめ
今回は、倉庫建築における「鉄骨造」と「木造」の坪単価比較と、構造選定のポイントについて解説しました。
重要なポイントを整理します。
- 建築費高騰の現実: 鉄骨造の価格上昇は続いており、従来の予算感では計画が成り立たないケースが増えている。
- 構造選定の重要性: 「倉庫=鉄骨」という固定観念を捨て、条件に合わせて構造を比較することがコストダウンの鍵である。
- 木造の進化: 技術革新により、木造でも大スパン・高天井の倉庫が可能になり、耐久性も向上している。
- トータルコストの視点: 本体価格だけでなく、地盤改良費や工期短縮によるメリットを含めて判断する必要がある。
最も危険なのは、最初から一つの選択肢に絞り込んでしまうことです。鉄骨造には鉄骨造の良さがあり、木造には木造の良さがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、建設地の条件や事業計画に合わせて、フラットに比較検討することが成功への近道です。
私たちは、茨城県で非住宅建築を数多く手がけてきました。
倉庫建築において、お客様の予算や要望、そして建設予定地の地盤データを詳細に分析した上で、「今回は鉄骨造でいくべきか、それとも木造が合理的か」というシビアな構造判定を行っています。
実際に、「鉄骨で見積もりを取ったら予算オーバーしたが、木造で再設計することで性能を落とさずに予算内に収まった」という事例も多数ございます。もちろん、条件によっては正直に「この規模なら鉄骨にすべきです」とお伝えすることも私たちの役割です。
「自社の計画の場合、どちらの構造が最適なのか?」
「現在の見積もり金額は適正なのか?」
そのように感じられた方は、ぜひ一度、茨城県木造建築の相談窓口へご相談ください。貴社の事業にとって最も利益の出る建築計画を、一緒に考えさせていただきます。








